10月

10月最初の夜
金木犀が溶けだした
この秋最初の香り
湿気た風に吹かれていた

嵐の静けさを
君は見られるだろうか
愛とかの探し方を
君の行方に期待した

誰も知らぬ夜の中をゆく
私の心と同じざわめきで
揺れた街路樹の影を飲み込み
静かな街を 少しだけ 支配した

期待したその分だけ
騙されてもよかった
傷つく覚悟がなけりゃ
傷つける権利もないものだ

誰も知らぬ夜の中を抜ける
私の心と同じざわめきで
君とこの夜を逃れるために
沈んだ街を 少しだけ 支配した

誰も知らぬ夜の中をゆく
わたしの心と同じざわめきで
揺れた街路樹の影を飲み込み
静かな街を 少しだけ 支配した