浜辺に散る頃

忘れられないことと
忘れてしまうことと
どっちの方が
悲しいだろうか

忘れてしまったら
無かったことになる
そんな気がしては
手放せないでいた

薄れていくことに逆らってみたけれど
時間には勝てないね
失いたくなかった愛も
行き場をなくし消えてゆく

散ってしまったあの花の
名前を思い出せますか
香りは残っているでしょうか

枯れてしまったあの花は
どれだけ水を与えても
同じ緑を見せてはくれない


いつか消えてゆくから
今が大事だなんて
愛してゆく理由に
終わりを見たくない

永遠は手に入らずに
何度もすり抜けてゆくし
目には見えないけれど きっと
信じる価値のあるものだ

「儚いからこそ美しい」わけじゃなく
 ただここで咲き誇る
それだけで意味を成すと
終わりの要らない今を

咲いてゆくための理由は
作ってしまえば簡単だ
そうすれば全ておしまいだ

理由なんてきっと分からないわ
分からないから探している
分からないからここにいる


散ってしまったあの花の
名前を思い出させますか
香りは残っているでしょうか

触れた時の柔い感情を
抱きしめて 泣く夜も 枯れてく
 悲しくそして美しく